ルハーンシク州のローカル加刷切手

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がウクライナへの特別軍事作戦を命じ、一気にウクライナ全土を制圧しそうな勢いです。まさか律儀に北京オリンピックの閉幕を待ったというのでしょうか。オリンピック期間中には戦争はやめようという、いわゆる『オリンピック休戦』というものがありますが、個人的にはせめて国際切手展の開催中にも戦争はしないでいただきたい。戦争から生まれ出づる郵趣品もあるので複雑ではあるのですが、郵趣そのものは平和でなければ楽しむことはできません。欧米発の社交の場である切手展と戦争はまったく相反するものです。

さて先日はウクライナ東部を占領する親ロシア派武装勢力が自称する国家『ドネツク人民共和国』『ルガンスク人民共和国』が2015年に発行した切手をご紹介しましたが、今回ご紹介するのはそれよりも前で、それよりも怪しい代物です。これは1993年にウクライナのルハーンシク州にて発行されたとされる、旧ソビエト連邦の普通切手に加刷した切手です。

現在のルガンスク人民共和国は、このルハーンシク州の一部が独立したと称したものです。ちなみに、ドネツク人民共和国のあるドネツィク州もやはり加刷切手が登場したそうです。

以前にも取り上げましたがソ連崩壊後に登場したとされる大量のローカル加刷切手はまったくもって扱いに困るものです。何しろ何が正当な切手で何がニセモノなのかがわからないからです。切手カタログに載っていなくても、地方では便宜的に使用されていたと主張されてしまえば無下にニセモノとも言えません。しかし偽造品もたやすく作ることができるでしょうから、手を出すのは非常に危険です。