これはウクライナが1994年10月8日に発行した、ファシストによる占領からの解放50周年を祝う切手です。ロシア、ベラルーシと共同で発行されたものですが、2022年ウクライナ戦争開戦後にウクライナ郵政がこの切手を撤回しました。正確には、世界中の新切手に通し番号を付けているWADPナンバリングシステムからこの切手を取り下げると発表しました。
実はこうした措置は先日ご紹介した、2013年7月28日に発行した『キエフ大公国のキリスト教化1025周年記念』切手と全く同じです。ところが、WADPナンバリングシステムは2002年以降の切手が対象です。なので1994年発行の切手は最初から同システムには登録されていないはずで、ウクライナ郵政の意図はいまいち不明です。この切手が使用不能になるといった発表はないように思います。
切手そのものを見ていくと、右上から時計回りにロシアを解放する自走式多連装ロケット砲(MLRS)・BM-12『カチューシャ』、ウクライナを解放するイリューシン社製の戦闘機・Il-2『シュトルモビク』、そしてベラルーシを解放する中戦車・T-34-76と歩兵が描かれています。いずれも旧ソ連をファシズムから解放した兵器として位置づけられています。
Укрпошта звернулася до Всесвітнього поштового союзу та країн-членів з проханням запровадити санкції проти росії у сфері філателії
(ウクライナ郵政、2022/3/18)
https://www.ukrposhta.ua/ua/news/57589-ukrposhta-zvernulasja-do-vsesvitnogo-poshtovogo-sojuzu-ta-krain-chleniv-z-prohannjam-zaprovaditi-sankcii-proti-rosii-u-sferi-filatelii
Ukraine asks UPU for philatelic sanctions on Russia
(Linn’s Stamp News、2022/3/24)
https://www.linns.com/news/us-stamps-postal-history/ukraine-asks-upu-for-philatelic-sanctions-on-russia