『さくら日本切手カタログ』電子版を2年で終了

『郵趣』4月号の裏表紙に掲載されている『さくら日本切手カタログ』(日本郵趣協会発行)2022年版の広告によれば、今年4月発行予定の最新刊はCD版が発売されないらしい…という情報が流れてきたので見てみたところ、うーん確かに。はっきり書いてますね。

さくら日本切手カタログの電子版が登場したのが2年前。その際、私は『とにかくスピードが遅すぎる』と書きました。それからたった2年後、今度は『とにかく諦めるのが早すぎる』。まあ、売れなかったということなんでしょう。それも、2年で諦めたんだから、よっぽどです。

電子版に対する不満がないわけではありません。最大の難点は所有チェックボックスにチェックが付けられないことだと思っています。実際、紙のカタログに手書きでチェックを付けて所有リスト代わりにしている方が多いのでしょう。切手即売会でカタログとにらめっこしながら切手を吟味されている方を見かけます。中にはあの重いミッヘルカタログを持ち歩いている方もいますね。あとはまあ、テキストをコピーできないのは面倒くさかったかな。色々とやりようはあるんですけどね。

しかし、紙と違って電子版はカタログ内をテキスト検索できるのが非常に良いのです。これだけ切手の種類が増えているのだから、ますます検索できるようにしておくメリットは大きいはずです。それに、電子版であればページ数はあまり問題にならなくなります。カラーだからって印刷代も気にしなくていいですしね。実際、電子版では沖縄切手や在外局・軍事、満州国、中国・南方占領地切手が復活しました。日本切手カタログを標榜するならこの辺を削除するのはどうかと思うのです。日本切手のクラシックカタログを別に作るというのなら、まだわかるのですが。沖縄切手は総カタログが本土復帰45周年記念で出ましたね。

ページ数を抑える目的でこれらを削ってきた(と個人的に勝手に思っている)紙版ですが、日本切手の種類が年間600種類も増え続けている以上、いずれにせよページ数もこれからどんどん増えていくはずです。周辺の切手を削るのは単なる問題の先送りに過ぎません。いずれは分冊化も検討せざるを得ないはずで(これについては3年前に当ブログで書いたことがあります)、先に述べたクラシック切手カタログの発行も視野に入ってくると思います。

ただ、電子版ならこれらの問題はすべて解決できるのですよ。分冊化しなくても、一冊まるまる買えばそれで全部なわけでね。どうしても紙版が必要なら別途料金をとって紙版を提供すればいいんです。要するに電子版を廃止するのではなく、むしろ電子版をメインにするという方針を打ち出すべきでした。これを今さら逆転の発想と言う気はないですよ、もうそんなのとっくに当たり前の時代ですから。もっとも、切手カタログの電子化で苦労してるのはさくら日本切手カタログだけじゃないですけどね。

これら電子版のメリットを、日本郵趣協会がわかっていないとは思っていません。結局のところ、毎年切手カタログを買い換えるような人たちは紙版しか使えない、あるいは紙版のメリットを大きく評価する人たちばかりだということなんでしょう。そもそも切手カタログって毎年買い換えなきゃいけないんだっけ?という根本的な問いにもつながってきそうですね。

ただねえ、今回は紙版に回帰するという選択肢が取られましたが、いずれまた電子版にせざるを得ないでしょう。もっとも、日本郵趣協会はもうそれをやれないのかもしれません。実行するのは日本郵趣協会以外の、別の発行元かもしれません。